今日も、「諸行無常(しょぎょうむじょう)」について学んでみたいと思います。
「諸行無常」とは「この世のすべての現象は変化する」という意味です。しかし、この真理が分からないうちは、健康や財産、名誉など、すべてが不変であると思い込んでしまいます。また、人やものごとに対して、「こうするはず、こうするべき、こうするもの」と固定して見ることによって苦と感じるのです。この固定観念は「恥ず(はず)、べき、もの」ですね。
牛糞喩経(ごふんきょう)という経典で、お釈迦さまが次のように説かれます。
お釈迦さまが、ある時、自分の手の指の爪を示して、人びとに「私の指の爪は清浄(しょうじょう)であるか、汚いか」と尋ねました。
人びとは「世尊の爪は、真珠のように美しい爪で、まことに清浄の極みです」と答えます。
お釈迦さまは、道端の牛糞(ごふん)を指ですくい取り、「私の指の爪は清浄であるか、汚いか」と尋ねます。
人びとは「世尊の爪は、いまは牛糞にまみれて、じつに汚くなりました」と答えます。
そこで、お釈迦さまは「このように、一切のものは無常である」とお示しになりました。
この短い説示で大事なのは、「釈尊の爪は美しく、牛糞は汚い」という固定観念の打破です。私たちはとかく、きれい・汚い、能力がある・ない、性格が明るい・暗いなどと比較し、判断しますが、それらは一瞬にして変わるものであることを教えているのです。大事なことは、一時的な比較、相対にしがみつかないことです。
今日は固定観念の「はず、べき、もの」を捨てて、人やものごとを素直に見ていきましょう。
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