特集「あるがままで本領を発揮する」(やくしん 2017.9)の中から、本領を発揮し、生きがいのある人生を送るためには、いまを大切にすることだと、仏教的視点から、過去・未来にとらわれず、いまを大切にする術を、スマナサーラ長老(スリランカ上座仏教・テーラワーダ仏教)が教えてくださっています。今回から数回にわたって紹介をしたいと思います。
◎過去や未来は考えない いまを生きることが何よりも大事 (アルボッムレ・スマナサーラ)
○過去に足を引っ張られないようにする
ものごとはすべて変化します。仏教では「無常」といいますが、現象とは、いまの瞬間に絶え間なく変化していく流れなのです。過去は過ぎ去っていくものなので、けっして後戻りはできないのです。どうあがこうとも過去を変えることはできません。
ところが、私たちは過去の経験や体験を思い起こし、〈あのときは、良かったなぁ。あんなことがなければなぁ〉などと、過去にひたってしまいます これは人間の性(さが)ですが、不幸をもたらす心の癖なのだと戒めましょう。
ふと過去を振り返り、心が波立つときは、いまに集中することだけを心がけましょう。
○妄想だけで人生を終わらせない
私たちは、さも、明日も明後日も同じ日が続くように思っています。そして、人は未来に目標をもち、想像し、夢を見ます。けっして悪いことではありませんが、いつ、何が起こるかわからないのが人生です。何も保証されたものでもありません。不確定な未来に思い煩うと、時間を無駄にしてしまいます。いわゆる妄想の世界に迷い込んでしまうのです。これも厄介な心の癖で、それが分かっていても未来を想像してしまいます。対策としては「只今、私は妄想中」と、声に出して自覚すると良いかもしれません。「妄想」ばかりしていると、あっという間に人生が終わってしまいます。ほどほどに。
この人生は一度きりで繰り返さない。しかも刻々と死に向かって生きているのだと自覚しましょう。
「いまを大切に生きる」ことを、私たちは教えていただきます。しかし、意識をしていないと、知らず知らずのうちに、過去にとらわれ、とらわれてしまうと後悔の気持ちが強く湧いてきます。また、まだ来ない未来のことをあれこれ考えると、今度は不安な気持ちが湧いてくることがよくあります。そんなときは、「只今、私は妄想中」と声に出して自覚することを教えていただきました。いまの自分の心を自覚する、客観的に把握することが大切なのですね。いまに集中せずに、自分の意識の状態が妄想している状態ということが、AIが進化していく中で判断してくれるかもしれません。そしたら、私は「只今、私は妄想中」と表示が止まないかもしれません。
今回は、妄想の世界に入り込んだり、入りそうになったりしたら、「只今、、私は妄想中」と声に出してみましょう。
次回までよろしくお願いします。
写真は過去の三国祭りの山車に飾られていたものです。
伊達政宗でしょう。
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