今回も、壮年部向けの雑誌「DANA(ダーナ)」の特集「カラを破ってみる」という内容で、プロコーチ・作家の野口嘉則さんの記事「自分らしさを発揮し、人とも調和するには」の続きを紹介しますのでご覧ください。
○人間関係を修復する言葉を自分で具体化して用意し自ら問いかける
苦労を作る考え方の特徴は、「べき」「ねばならない」と決めつけている思い込みです。このカラを破るには、まず自分の思い込みを知ることです。
自分の思い込みに気づいたら、それを修正する言葉を具体的に用意するのが、次のステップです。妻や子どもとうまくコミュニケーションが取れず、いつも怒ってしまう人を例にしましょう。
その男性は「妻は夫の意見に従うべき」という思い込みがあります。そのため、「妻が自分の意見に従わない」のは、あってはならない事態なので腹が立つわけです。そこで、「妻にも価値観があり、いつも私に賛成してくれるとは限らない」といった言葉を用意しておくのです。
この言葉を思い出して妻との会話に努めるのですが、初めからうまくできる人はいません。落ち込まずに、努力している自分を認めて継続してください。
ちなみに、身近な人ほど期待感が強くなり、「べき」が増えるので、家族に厳しくなるのは、よくあるパターンです。
また、「怒り」の感情にも、壮年の特徴があります。「みじめさや悲しさなどの感情は表すべきではない」と、思い込んでいる人が多いのです。その感情を自覚したくないという反動で、怒りの感情となって表れてしまいがちなのです。
例えば、いきなり上司に呼ばれて「バカヤロー」と怒鳴られれば、「自分がみじめ」「がんばってきたのに怒鳴られて悲しい」という感情がわき上がってくるのではないでしょうか。
そんなときは、善悪の判断をせず、最初に起きた感情をそのまま認め、「そうだ、あんなふうに言われて辛かったなあ」と、自分の心を抱きしめるように受け入れてください。自分の心に気づいていく訓練になると、同時に、落ち着きます。
私も家族、特に子どもに対して、ゴールデンウイーク中にいつまでも寝ていると、「せっかくの休みなのだから、有意義につかったらいいのに」という心がわいてきました。その奥には「べき」という思い込みや「して欲しい」という期待が隠れていたと思います。そのたびに「休みだからこそゆっくり安心して休めるのだ。私も若い時はいつまでも寝ていたな。年を重ねる中で、目が覚めるようになっただけ」と自分に言い聞かせていたところもありました。
相手の行動に目が向いて、いろいろと言いたい気持ちが出る時は、「子どものことで気になっている自分なのだ。こうやって自分の両親も、私の行動に気になっていても温かく見守ってくれていたのだ」と、自分の気持ちを受け入れ自分の心に目を向けると、少し心が穏やかになったと思います。
今回は、善悪の判断をせず、最初に起きた感情をそのまま認め、自分の心を受け入れていきましょう。
次回までよろしくお願いします。
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