今回からは、過去の「やくしん」(2001,2)の特集「だれでもつまづく人間関係」の中から、海原純子さん(海原メンタルクリニック所長 心療内科医)の「無口な人でも自信が持てます」を紹介します。
20年以上前の記事ですが、今の時代にも必要なことだと思います。
○自分らしさを見つける
他人とうまく会話ができない原因の多くは、自分に自信が持てないことにあります。では、自信をもって自己表現するためには、どうすればよいのでしょうか?
それにはまず、自分がどんな人間なのかを知る必要があります。日々の生活のなかで、自分がどんなときに喜んだり悲しむかなど、自分の心の動きを深く見つめていくと、他人との比較や人からの押しつけによって形づくられたものではない、ほんとうの自分の姿が見えてきます。それが自分らしさといえます。
ところが、そうした自分らしさよりも、他人のよい面ばかりを気にする人がいます。しかし、私たちは、自分ではない他人を演じることなどできません。この世に何十億という人間がいるなかで自分が生まれてきた意味を考えてみると、自分自身がかけがえのない存在であり、自分にしかできないことが必ずあることに気づきます。外見も内面も他人と違っていて当然なのです。他人のまねごとをしたり、周囲の期待に応えようとするのではなく、生きがいをいちばんに感じられるときを大切にしてください。そんなときの自分は、自分らしく生きているといえます。
以前にも述べたことがありますが、私は「自分らしさ」という言葉にとらわれていた時がありました。「自分らしさ」は何かと考えれば考えるほど、他人と比較をして優劣をつけてしまい、優れていると思えば慢心になり、劣っていると思えば卑屈になり、心が落ち着かない状態でした。周囲が比較するよりも、自分自身が周囲と比較してしまうことに疲れていたと思います。
教えを学んだり、たくさんの人と出会ったりする中で、「あなたにはこんな素晴らしいところがある」と、自分では気づいていない自分を認めてもらいました。また、自分自身に湧いてくる様々な気持ちを受け入れ、「こんな気持ちがあるのか」と新たな自分を発見する中で、自分を少しずつ知ることができてきたように思います。
先日、お寺の掲示板に、「人間の目は外を見る。仏さまの目は内を見る」という言葉を見つけました。今回の学びを踏まえて、自分なりに受け止めると、他人(外)との比較の目から、自分自身を見つめ、自分の尊さを知る内省の目を持つことだと思います。周りばかり気にしている自分に気づいたら、自分自身を振り返り見つめていくことを大切にしていきましょう。次回までよろしくお願いします。
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