前回から、過去の「やくしん」(2001,2)の特集「だれでもつまづく人間関係」の中から、海原純子さん(海原メンタルクリニック所長 心療内科医)の「無口な人でも自信が持てます」を紹介しています。今回は前回の続きです。
○短所を長所と見るコツ
自分らしさを見つける過程で、私たちはどぅしても自分の短所を気にしがちです。短所が気になる心理には、一つの要素と一つの潜在意識が複雑にからみ合っています。
一つの要素とは、「自分は自分といちばん近い人である」ということです。相手と自分とのあいだには距離があるため、相手の短所は気になりません。けれども、自分の短所は、まるでカメラの接写レンズでのぞいたかのようにこと細かに見えます。すると、それが気になって止まらなくなり、「自分に満足しているばかりでは進歩がない」という潜在意識とつながって、なんとか克服しようと焦ってしまいます。
しかし、じつは、短所と長所は表裏一体のものなのです。たとえば、私たちは、水が半分入ったコップを前にして、水を飲みたくないときにはまだ半分あると思い、のどが渇いて仕方がないときは半分しかないと思います。このように、水が半分あるという同じ現象でも、自分の都合で受けとめがちです。
性格もこれと同じで、自分のことを無ロだと思い込んでいる自分から少し離れて、「ほんとうに自分は無口なのだろうか」と少し角度を変えて見ようとすることで、逆に言えば、人の話をよく聴くことができる自分なのだと受けとめることもできるのです。
短所も長所もありのままに見つめることが、「自分は素晴らしい性格を持っているんだ」という自信につながり、無口な自分をありのままで表現する気持ちになるのです。
今回の学びを通して、自分の短所が気になる心理には、「自分は自分といちばん近い人である」という要素と、「自分に満足しているばかりでは進歩がない」という潜在意識が複雑にからみあっていることを知りました。
最初に読んだときに、「相手と自分とのあいだには距離があるため、相手の短所は気になりません」という内容に、「いやいや、気になるでしょ」と、私が気になってしまいました。
しかし、深く見つめていくと、自分の短所は細やかに見えるのだけれども、その短所を自分が認められない、受け入れられないところから、相手の短所に目を向けていくのだと感じました。
今回も、短所と長所は表裏一体のものとありました。短所も長所もありのままに見つめることができたら、さまざまな心が自分の中にあることを発見し、そのことで自分の豊かさに気づくことができるのだと感じました。皆さんはどのように感じたでしょうか。
次回までよろしくお願いします。
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