今回からは、幹部向け冊子『求道』(1998.8)に掲載された、「『道場観』をしっかり保つなかで」(大阪教会長 渡辺恭位-当時)から、「道場観」「即是道場」について学んでいきたいと思います。
私たち在家信仰者にとって何より大事なのは、生活の場である家庭や職場などで教えを生かすことです。
いつでも、どこでも、法にそった生き方ができることをめざし、私たちは教会道場で修行をさせていただいております。
その一つの功徳が、仏さまと向きあう習慣が身につき、道場観 — 即是道場の心を培(つちか)わせていただけることです。
教会道場での一日は、朝六時のご供養から九時の朝礼、正午と午後三時のお題目修行まで、そのたびに合掌・礼拝をくり返す規則正しいものです。
そのくり返しによって、私たちは仏さまと向きあう習慣を身につけ、家庭でも職場でも、ことあるごとに法にそった自分であるかどうかを内省できるように自分を高めていくのです。
私たち幹部は、このように教会に通うことで仏さまと向きあう習慣を身につけました。
しかし、信者さんのなかには仕事で多忙な人もおり、教会道場になかなか参拝できない人もいます。そうした方々に、仏さまと向きあう習慣をどう自得していただくかは、私たちの大きなテーマでもあります。
そこで、私はご宝前のお給仕や朝夕のご供養などをきちんとお勧めし、一日のなかで仏さまと向きあう時間をわずかでもつくっていただくことが大切だと思っています。
お給仕やご供養の時間を生活にとり入れることで生活に規則正しいリズムが生まれれば、心にハリもでてきます。
仏さまと向きあい、自分を見つめられるその「時」が、現象を冷静に見るきっかけとなり、自分にとって不都合と思える状況があっても、それを仏さまの説法と受けとめられる智慧が生まれるのです。
つまり、その場が自分を高めてくれる尊い場所、道場となるわけです。
ただ、そのように指導させていただく私たち幹部が、家庭や職場で教えを実践していないのでは、人さまに教えにそった生き方をしていただくことはできません。
何で読んだのかは忘れてしまいましたが、ご供養が続かないという信者さんの質問に対して、「まずご宝前の前に座る」ことを教えていただいた内容がありました。
あらためて自分を振り返ると、私もご宝前の前に座り、仏さまと向き合っていると、手を合わせてみよう、お題目三唱だけでも唱えてみよう、青経典の16番だけでも読んでみよう、今日は2番と16番、今日は2番・10番・16番・20番の4品を、今日は青経典一巻を、今日は今日の日付の三部経の品を・・・というふうに、少しずつ仏さまに向き合う時間が増え、面倒くさいと思う時間から落ち着く時間に変化してきたことを確認できました。
今回は、「まずご宝前(仏さま)の前に座る」時間を大切にしていきましょう。
次回までよろしくお願いします。
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