9月に入り、学校も職場も通常状態になった方が多いのではないでしょうか。
今回は、「道場観」「即是道場」について会長先生の年頭法話(令和2年)から学んでいきましょう。
「道場」というと、私たちはまず大聖堂や教会、地域道場などを思い浮かべます。しかし、「即是道場」とは、自分が居る所、住んでいる所、身を置く所、すべてが道場であるということです。
よく相撲に譬えてお話しするのですが、教会や地域道場は、いわば稽古場といえます。本場所は、あくまで家庭や職場、学校、地域社会です。
日々の生活の中では、本当にいろいろなことが起こります。自己中心の人もいますから、お互いが理解し合い、仲良くしていくのは、並大抵のことではありません。
相性の悪い人に出会ったり、冷たい言葉、厳しい言葉を投げかけられたり、無視されたりして、悲しく、つらい思いをすることもあるでしょう。
しかし人間は、不自由であったり、不都合であったりするからこそ、それを何とか乗りこえていこうという気持ちを起こします。何一つ試練がなかったとしたら、おそらく人間は向上できないと思います。
ですから、困難に出遭った時には、「人間として成長するきっかけを頂いた」「ここが踏ん張りどころだ」という受け取り方をして、目の前のことに最善を尽くしていく―それが「即是道場」の精神であります。
とりわけ在家仏教徒にとっては、日常生活のあらゆることが修行です。何か特別なことをするのではなく、人と会って話をすること、仕事をすること、学校生活を送ること、料理や掃除をすること……。その一つひとつのことに、手を抜かず、丁寧に、心を込めて取り組んでいくことで、良い習慣が身につき、自(おの)ずと身心が調(ととの)うのです。
特に家庭は、最も甘えやわがままの出やすい場所です。親しい関係であるがゆえに、遠慮のない、きつい言葉が飛び交うこともあるでしょう。そうした中で、感情を抑え私心を捨てて、仏の教えに沿って実践していくことは、何にも勝(まさ)る厳しい修行です。家庭こそは「人間形成の根本道場」なのです。
私たちにとっては、日常生活のあらゆることが修行です。人と会って話をすること、仕事をすること、学校生活を送ること、料理や掃除をすること……。その一つひとつのことに、手を抜かず、丁寧に、心を込めて取り組んでいくことで、良い習慣が身につき、自ずと身心が調うと教えていただきました。
今回は、自分の居る場所で為すべきことを真心込めて取り組んでいきましょう。
次回までよろしくお願いします。
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