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後藤教会長

~教会長のいい福通心(つうしん)237号~

佼成新聞に連載されていた開祖さまの、『心が変われば世界が変わる-一念三千の現代的展開-』を紹介しています。今回も、皆さんと一緒に学んでいきたいと思います。


○体験的に知っていた心身不二(しんしんふに)

仏教では心身不二ということを教えていますが、皆さんも、確かにそうだと、感じる体験があるはずです。例えば、ひどく腹を立てると、頭がガンガンしてきたり、手足がブルブル震えたりしてきます。心配ごとがあると、顔色が青くなり、食欲もなくなります。急に恐ろしい目に遭えば、心臓は一時止まったかのように感じ、口の中が乾いてカラカラになります。大事な勝負に臨む前は、出もしない小便をやたらにしたくなります。

こういうことは大昔から人間は体験的に知っていたのですが、どうしてそうなるかということまではわかりませんでした。ところが、現代になって、いろいろな学者が実験によって、その理由をつきとめ、実証するようになりました。

アメリカのキャノンという学者は、ネコを使って、怒ったり、恐怖したりする時の反応を研究しました。ネコにイヌをケシかけると、全身の毛を逆立て、爪を出し、歯をむき出してうなります。その時、ネコの体に起こる変化を調べてみますと、脈が大変早くなり、血圧が上がり、赤血球の数が殖え、血液の中の糖分が増し、胃腸の運動が停止することがわかりました。そして、これらは副腎(ふくじん)というところから出るアドレナリンのせいだとしたのでした。

この研究から出発して、カナダのセリエという学者は、ストレス学説というものを唱えました。ストレスというのは<緊迫>とか<侵害刺激>と訳され、人間の健康に害を与える外的・内的な刺激を言うのです。外的な刺激と言いますと、猛烈な寒さや暑さ、外傷、かび、菌の感染などです。内的な刺激と言いますと、不安とか、苦悩とか、恐怖とか、憤怒(ふんぬ)といった精神的な刺激です。このような不快な精神的刺激も、よくない外的な刺激と同時に、身体に害を与えるというのです。その理由として、不快な刺激によって出るコーチゾンというホルモンが、全身に大きな影響を与えることを発見したのでした。

セリエは、このようにして起こる病気をストレス病と呼び、例えば、実力以上の地位についた人が起こす狭心症や不整脈、心労の多い管理職がよくかかる胃潰瘍、その他高血圧、リューマチ、糖尿病、腎硬化病などを、その病例としてあげています。

昔から「病は気から」と言われてきましたが、現代の医学でも精神と身体とは切り離すことのできないことを実証し、<精神身体医学>という独立した分野もできたのであります。私はつい昨年、わが国の精神身体医学の最高権威と言われる池見酉次郎(いけみゆうじろう)博士と対談させて頂きましたが、いろいろとお話をうかがって、<心が変われば身体が変わる>という実証が、実に広範囲に及んでいることに、今さらのように驚きました。

池見博士によりますと、小児ぜんそくは親の過保護が大きく関係しているということでした。この病気は三歳児に一番多いのだそうですが、この年齢の子供はこれから独立した人格を形成しようという大切な時期にさしかかっているのです。ところが、近ごろの親たちは、子供を自分のものとして独占したいという気持ちから、あまりにぴったりくっついて離れない。だから子供の個性は健やかに伸びていかないということになる。そうした親と子のゆがんだ関係がぜんそくに結びつく……というのです。


【わたしの所感】

身心不二、心身一如と教えていただきますが、心(精神)と身体は切り離すことのできないひとつのものと教えていただきます。

心配事が多く、イライラやクヨクヨすることが多くなると免疫力も下がり、体調を崩しやすくなります。また、体調が悪い時は前向きな心にはなりにくく、精神的にも落ち込みやすくなります。

「健康」とは「健体康心」のことであり、体が健やかで心が安らかな状態です。体と心の健康に気をつけていきましょう。次回までよろしくお願いします。




写真は先日、能登半島地震の視察の時に写した『見附島』です。

地震により、島も大きく崩れてしまいました。

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