今日は「四諦(したい)の法門」の「道諦(どうたい)」について学びます。
「道諦」は苦の原因を取り除くために、自分の心の持ち方を変えていく努力をすることです。
その具体的な実践方法として、お釈迦様がお示しくださる「八正道(はっしょうどう)」と「六波羅蜜(ろくはらみつ)」を実践することです。
「八正道」とは要約すれば、正しい信仰心を起こし、日常の正しい心の持ち方、正しい行いを実行して、仏さまが教える道を正しく修行していく、ということです。真理にそくし、目的にかなった教えを実行していけば、自分さえよければといった自己中心の心が正されて、周囲の人と調和のとれた迷いのない世界がそこに生まれてきます。
つまり、「苦を滅するための目的にかなった八つの道」が「八正道」というわけです。
これまで自分にとらわれ、欲望に振り回されてきた自分が「八正道」を実践することによって、行いが正され、心が清まってくると、自分のことはさておいて、人さまのために何かお役に立つことをしてあげたい、という気持ちになってきます。
それが「菩薩の心」です。
「六波羅蜜」は菩薩の修行をするものの行いについて六つの徳目を示されたものです。菩薩というものは、自分だけの迷いを離れれば十分というのではなく、他を救うのがその本質の働きですから、この「六波羅蜜」の実践のそれぞれの徳目は、すべて他を救う働きの中で発揮されるものです。
私たちは様々な関わりの中で生きています。そうした関わりの中で私たちは人生苦に直面しています。ですから、人さまの幸せのために生きていく菩薩行によって、自己中心の欲によってもつれた糸がほぐれ、そこに正しい関係が生じて苦が滅せられてくるのです。
目の前の人に喜んでもらう行いを、真心込めてくり返すことによって、心が清まってきます。すると、これまでの自分の間違った行いのために、どれだけ周囲の人々に迷惑をかけてきたか、ということがありありと見えてきて、迷惑をかけてきた人に心からおわびをせずにはおれなくなります。そればかりか、自分の心得違いを直そうという積極的な心がわいてきます。そうした努力を積み重ねていく中で、苦の解決ができていくのです。これが「道諦」の実践です。
今日は、自分ができる「よいことを、真心を込めて、くり返す」ことに取り組んでみましょう。
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