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  • 後藤教会長

~教会長のいい福通心(つうしん) 7号~

更新日:2021年12月9日

2月15日は仏教三大行事の涅槃会(ねはんえ)です。今日の一枚は、涅槃会を迎える福井佼成幼稚園の写真です。亡くなられたお釈迦さまを、園児らが書いたお弟子さん方が囲んでいます。一人一人顔が違って、お釈迦さまの死を悲しんでいる様子がとても上手です。

今日は涅槃会に関連する仏典物語、「最後の弟子」を紹介します。

皆さんはどんなことを感じるでしょうか。

淡い月の光が、林を抜ける小道を照らしていました。月明かりに浮かぶ、その白い道を一人の老いた行者が歩んでいました。石につまずいてはよろめく身体を杖(つえ)で支えながら、スバッダはゆっくりと足を進めました。やがて、粗末な庵(いおり)が見えてきました。庵の傍(かたわ)らに立つ沙羅(しゃら)の樹のもとに、釈尊が横臥(おうが)されていました。「お釈迦さまが今夜、入滅される」と伝え聞き、スバッダは釈尊のもとを訪れたのでした。

スバッダはアーナンダ(阿難・あなん)に釈尊への取り次ぎを頼みました。予期せぬ来訪者にアーナンダは戸惑いました。「世尊は病(やまい)篤(あつ)く、休んでおられます。どうか、お引き取りください」。押し問答になりました。その時、釈尊の声が割って入りました。「アーナンダよ、その行者さんをお通ししなさい」。

釈尊は横になったままスバッダに教えを説かれました。上体を起こせないほど衰弱(すいじゃく)していたからです。スバッダは出家することを請(こ)い、許されました。スバッダを送り出し、釈尊に向けたアーナンダの眼は涙で濡れていました。

「お釈迦さま、なぜそれほどまでに無理をなさるのですか? お身体も弱っておられるのに・・・・」。

釈尊は譬(たと)え話をされました。それは、一頭の鹿の、雄々しくも悲しい物語でした。

昔、森に火災が発生し、火はまたたくまに燃え広がりました。獣(けもの)たちは渓谷(けいこく)に逃げこみましたが、火は三方から迫って来ます。目の前は深い谷になっており、対岸は跳び越えることができないほど離れていました。獣たちの中から一頭の鹿が進み出ました。大きな鹿でした。鹿は前足をのばし対岸にかけました。動物たちが自分の背中をとおり、向こう岸に渡れるようにしたのです。獣たちが渡りはじめました。重量のある動物が渡るたびに、鹿の四肢は震え、背中の皮膚は破れました。最後の兎(うさぎ)が渡り終えた、その時、鹿の背骨は折れ、谷底に堕ちていきました。

「その時の鹿は私で、最後に私の背中を渡った兎がスバッダである」。そう話し終わると釈尊は静かに目を閉じました。

時節でもないのに沙羅の樹がいっせいに花をつけはじめました。淡黄色の花びらが散り、釈尊の上に舞い落ちました。花びらは月光を浴び黄金色に輝いていました。やがて、釈尊の身体は花びらで覆(おお)われました。釈尊が今、般涅槃(はつねはん)されたのでした。

「大智度論(だいちどろん)」より


今日は、お釈迦さまが一人一人を大事にされる様子を通して、目の前の人を大事にして過ごしてみましょう。🤗




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