今回も『やくしん』(2004年12月)の特集「ご宝前を中心にした生活」を通して、家庭におけるご宝前においての実践行の五つ目の意義と功徳を確認していきましょう。
○省みるー内省・三省(さんせい)の実践行
怒りや貪(むさぼ)り、嫉妬や執着といった感情は、だれの心にも巣くっています。そして縁によってそうした感情が頭をもたげるたびに人は過ちを繰り返すのです。
感情にまかせて家族にあたった後で、大人気なかったと反省することなどは、よくあることではないでしょうか。
反省すること自体は良いことですが、ともすると自分の至らなさばかりを見つめ、卑屈な思いに陥ってしまいがちです。そんなときは、ご宝前の前で、自分の仏性を信じてみずからの思いを省みてください。
煩悩即菩提(ぼんのうそくぼだい)、怒りや嫉妬の裏には、向上心や相手を思う気持ちといった仏性がかくれているものです。それに気づくことが過ちを成長の糧へと変えていく原動力となるのです。
※三省(三省)とは、論語からでています。日に三たび反省すること。何度も我が身を省みること。
一日の中で、自分を省みる時間を持つことは本当に大切だと感じています。私は自分を省みる時間として読経、そしてその後のちょっとした時間を大切にしています。
朝は、コロナ禍になり祈願供養として14日間で法華三部経全巻が読誦できるペースで読誦をはじめ、今は55回目になりました。その後、ご著書と自分のお気に入りの本を区切りの良いところまで拝読します。拝読した部分を通して自分を省み、その日の実践の誓願にすることも多々あります。
また、夕方は家に着いて着替えてすぐに読経をするように心がけています。お腹は減るのですが、夕食を食べるとお酒が飲みたくなり、お酒を飲むと読経するのが少し面倒くさいなと思ってしまいます。後になればなるほど、「よし、やろう」と自分を奮い立たせないと、読経しにくくなってしまいます。
ですから、大事なことはすぐにやろうと思い、家に帰ったらゆったりせずにすぐに読経をさせていただきます。読経後、一日を振り返り、自分の言動を省みる時間を取ります。「あの時にあのように言えばよかった」「もっとしっかり話を聞かせてもらえばよかった」と反省することも多いです。しかし、最後には、「今日一日有り難うございました」とすべてのことに感謝で終われることは、今を大切にして充実した人生を歩んでいくことができるもとだと感じています。
今回は、ご宝前(仏さまの御前)に座って、自分を省みる時間を持ちませんか。
コメント(気づき、発見、疑問、感想等)があれば記入してください。
次回までよろしくお願いします。
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